2016年1月18日月曜日

ブリーフワーク

 
カウンセリングルームを訪ねてくださるクライアントさんには
ふたつのグループがある。
ひとつは悲しみを抱えている人達、
もうひとつは怒りを抱えている人達だ。
 
悲しみの原因はそれはもう人それぞれで、
母親から愛情を得られなかった積年の悲しみ、
夫や恋人から言われなき言葉の暴力を受けた悔しさのにじむ悲しみ、
中絶によって命を軽んじてしまったことへの後悔の悲しみ、
彼の裏切りを知った時の怒りを含んだ悲しみなど、
さまざまだ。
 
そうしたクライアントさん達は
皆、セッションで話している内に自然と涙があふれ出し、
話している半分以上が泣きながらになってしまうことも珍しくない。
 
私は時に思わずもらい泣きしそうになりながらも、
ペンをとる手を止めずに、カルテに書き込みつつ、
クライアントさんの目を見て、そのお話をじっと聴いている。
 
きっと今まで誰にも十分打ち明けたり、相談したりしたことのない
その溜めていた思いが涙と共に溢れ出てきているのだろう。
 
ここでなら話しても大丈夫と感じてか、
涙と共に堰を切ったように言葉も止まらなくなる。
 
こうした出せるだけの涙と思いを言葉にしてだす行為は、
それがブリーフワークといって、悲しみを克服するのにとても大切なのだ。
 
誰かにこの悲しみを聴いて欲しい。
誰かにこの悲しみを分かって欲しい。
 
その先どうしたら少しは楽になれるかは、十分に吐き出した後に考えればいい。
 
何回セッションしても、その話になると涙が溢れている内は、
まだ吐き切れていないと感じるので、
話を止めることなく、私は聴いている。
 
「時間薬」といういい言葉があって、
どんな悲しみも時間が癒してくれるという昔の人の言い伝えだ。
 
いいこと言うなと感心する一方で、
でも誰かに思いの丈をぶつけたり、絞れるだけの涙を絞ってしまえたら、
もっと早く自分の気持ちの整理がつくのになとも思ってしまう。
 
ブリーフワーク=悲しみの作業
 
安心出来る場所と相手にゆだねて、甘えて、
すっきりしてほしいと願っている。


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