2016年4月11日月曜日

涙の意味

 
カウンセリングルームを訪ねてくださった方の2人か3人にひとりは
セッション中に泣き出してしまう。
 
「ここでお話になったことは決して外に漏れることはありませんので、
安心して何でもお話になってみてください」と前振りして、
どんなお話が聞けるか待っているのだが、
言葉の前に涙がほおをつたってしまう。
 
その涙は
ここで何を話してもいいんだという安堵の涙かもしれないし、
話そうとしていることを思い出して悲しみがこみ上げてきているのかもしれない。
または、うまく言葉にできないもどかしさが涙になって
つたっているのかもしれない。
 
いずれにせよ、胸に溜めていた何かが堰を切って、
涙としてこぼれ落ちているのだろう。
 
人はいろいろな思いを抱く感情の動物だ。
 
その感情の喜怒哀楽を表に出して表現できていれば、
それが喜怒哀楽のいずれであっても、気持ちは案外晴れ晴れしているものである。
 
しかし、それを堰き止めて、心に押し込めておかなければならない事情があると、
途端に苦しくなる。
 
ストレスが溜まるとストレス解消のために
美味しいものを食べたり、お酒を飲んだり、
ショッピングをしたりと
人はそれぞれ自分らしい方法でストレス発散を計る。
 
それが上手に出来ている間は
心は何とかバランスを保とうと頑張れる。
 
涙を流すこともひとつのストレス発散法だから、
言葉にうまくできない何かを涙が外に押し出してくれているとも言えるし、
やけ食いみたいに何かを体に取り込む代わりに
涙や叫び声などで、自分の感情を外に追い出しさっぱりするという
効用もある。
 
いずれにせよ、
初めてあったカウンセラーの前で涙を見せるというのは
恥ずかしいと思うかもしれないが、
そんなこと全然気にしなくていい。
 
人間、貯めていいのは貯金と楽しい思い出だけ。
 
辛いことも、悲しいことも、怒りも、悔しさも、不条理も、
溜めると体の中で有毒ガスを出す。
 
ここでは涙は流していいものと割り切って、涙してみると、
不思議に気分は少し晴れてくるし、
のど元に詰まっていた言葉も口から外に出てくれる。
 
ひとりで考え、悩み、溜めていると
体に毒よ。
 
そう涙があなたに教えてくれているのだ。
 
そして、あなたの涙は物言わぬメッセンジャーだけど、
とても多くのものを物語り、
目の前の私にも語りかけている。

0 件のコメント:

コメントを投稿